あこがれの仕事ガイド●
フードの仕事(主婦の友社 瀧清子著)P118より抜粋
薬膳アドバイザー
薬膳という考え方を一般に広める仕事。将来有望な分野です
 
 本来、薬膳とは中医学(中国医学)の理論をもとに生れた食文化で、健康を保つための養生や治療を目的として作られる食事のこと。個人の体質や体調、季節に合わせて素材を選び、素材の持つ特性を最大限に生かす調理法で作られた料理は、豪華な宮廷料理であれ、家庭のお惣菜であれ、すべて薬膳と総称されるとか。 大きな特徴は、中国古来の陰陽五行説にのっとって、食べ物の味と性質をそれぞれ5つのカテゴリーに分類している事。味には、酸、苦、甘、辛、鹹(かん:塩辛い)の5つがあり、特有の性能を備えていて、内臓にさまざまな作用を及ぼすとされています。性質は熱、温、平、涼、寒の5段階。食べ物によって、冷えた体を温めて血行を良くしたり、体のほてりを鎮めたりできると考えられています。ただし、調理法によって、食べ物の特性は変化し、最も体を冷やすのは生で食べた時。次いで、ゆでる、焼く、煮る、蒸す、炒める、揚げるの順で体を温める作用が強くなるといいます。確かに、夏の暑いときに大根おろしを食べるとスッキリしますが、冬におでんの大根を食べると体のしんまで温まる。これは本来、体を冷やす性質を持つ大根を季節に合わせた調理法で使いこなしているれいといえるでしょう。

 季節感も薬膳の大切な要素として見逃せません。体は季節の影響で微妙に変化します。その変調を、その季節に取れた旬の食べ物を体の中に取り入れることでカバーするという発想です。温室栽培より旬の露地野菜、養殖の魚より天然物のほうが生命力に富んでいて効能が高いとされています。 こうして見てくると、薬膳とは「漢方薬を使った特殊な中国料理」とか「体によさそうだけど、おいしくなさそう」などと漠然と思っていた人は、ずいぶん誤った固定観念をもっていたと気が付いたことでしょう。薬膳レストランで出されるコースだけが薬膳ではなく、中華風の料理だけに限るわけでもありません。薬膳とは前述したような考え方そのものなのです。
 
 さて、前置きが長くなりましたが、まちがった先入観を取り除き、本来の薬膳のあり方を広めるのが薬膳アドバイザーの仕事です。まだ、知名度は高いとはいえませんが、植山美保さんを始めとする先駆者たちの活躍で、最近徐々に注目を集めています。健康志向が強まっている現代のニーズにぴったり合致し、将来性十分な分野なので、これから「食」の仕事をめざす人は、検討してみるといいでしょう。 薬膳について学ぶには、まず中医学と中国の栄養学を知ることから。中医学の通信講座としては、家庭中国漢方普及会による「やさしい家庭中国漢方講座」(0422・41.5753)があります。



あこがれの仕事ガイド●
フードの仕事(主婦の友社 瀧清子著)P118より抜粋